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甲府地方裁判所 昭和57年(わ)195号 判決 1982年10月22日

裁判所書記官

五味忠彦

本店所在地

山梨県富士吉田市下吉田二、六三八番地

小佐野工業株式会社

(右代表者代表取締役小佐野清作)

本籍

山梨県南都留郡河口湖町船津七九四番地の二

住居

同県富士吉田市下吉田二、六三八番地

会社役員

小佐野清作

昭和八年一月一〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官牧義行出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人小佐野工業株式会社を罰金四、五〇〇万円に、

被告人小佐野清作を懲役一年六月に処する。

被告人小佐野清作に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社小佐野工業株式会社(以下「被告会社」という)は、山梨県富士吉田市下吉田二、六三八番地に本店を置き、硝子製品の販売等を目的とする資本金六、四〇〇万円の株式会社であり、被告人小佐野清作(以下「被告人小佐野」という)は、同会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人小佐野は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するとともに架空仕入・架空外注工賃を計上する等の方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五三年一二月二六日から同五四年一二月二五日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億三、三六三万五、九一一円あった(別紙(一)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五五年二月二五日、山梨県大月市駒橋一丁目一〇番二号所在の所轄大月税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五、四二六万八、五〇一円でこれに対する法人税額が二、〇二六万九、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五七年押第四三号の一)を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額九、一九九万一、五〇〇円(別紙(三)税額計算書の(1)参照)と右申告税額との差額七、一七二万一、九〇〇円を免れ、

第二  昭和五四年一二月二六日から同五五年一二月二五日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億四、六七三万七、五七九円あった(別紙(二)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五六年二月二五日、前記大月税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六、四六七万〇、九九九円でこれに対する法人税額が二、三四七万五、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の三)を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額九、六二八万二、一〇〇円(別紙(三)税額計算書の(2)参照)と右申告税額との差額七、二八〇万六、四〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人小佐野の当公判廷における供述

一  被告人小佐野の検察官に対する供述調書(昭和五七年七月七日付、同月一二日付(一)、同月三日付、同月九日付、同月二日付(二)、同月一日付(三)、同月一〇付、同月一三日付、同月一四日付)

一  小俣とめ子(同年六月二六日付、同月二九日付、同年七月一日付(一)、同月五日付、同月九日付、同月十二日付)小佐野征美(同年七月九日付、同年六月三〇日付、同年七月二日付、同月二日付、同月八日付、同月六日付(一)、同年六月二十八日付、同月二九日付、同年七月一二日付(二))、吉田徳郎(同年七月二日付)の検察官に対する各供述調書

一  大月税務署長作成の証明書

一  検察官、弁護人ら及び被告人ら作成の合意書面

一  甲府地方法務局吉田出張所登記官作成の登記簿謄本二通

判示第一の事実につき

一  被告人小佐野の検察官に対する供述調書(同年七月一日付(四))

一  小俣とめ子(同年六月三〇日付、同年七月三日付、同月七日付)、小佐野征美(同年七月六日付、同月三日付)の検察官に対する各供述調書

一  押収してある昭和五四年一二月期法人税確定申告書一綴(昭和五七年押第四三号の一)及び同期修正申告書一綴(同号の二)

判示第二の事実につき

一  被告人小佐野の検察官に対する供述調書(同年六月三〇日付、同年七月一日付(一)、(二))

一  小俣とめ子(同年七月一日付(二))、吉田徳郎(同年七月一四日付)の検察官に対する各供述調書

一  押収してある昭和五五年一二月期法人税確定申告書一綴(昭和五七年押第四三号の三)

(法令の適用)

一  判示各所為

いずれも刑法六条、一〇条により、昭和五六年法律第五四号(脱税に係る罰則の整備を図るための国税関係法律の一部を改正する法律)による改正前の法人税法一五九条一項(被告会社についてはさらに同法一六四条一項、一五九条二項)

一  刑種

被告人小佐野につき所定刑中いずれも懲役刑を選択

一  併合罪加重 刑法四五条前段

被告人小佐野につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に法定加重)

被告会社につき同法四八条二項

一  刑の執行猶予

被告人小佐野に対し同法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 松岡和子)

別紙(一) 修正損益計算書

小佐野工業株式会社

自 昭和53年12月26日

至 昭和54年12月25日

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

小佐野工業株式会社

自 昭和54年12月26日

至 昭和55年12月25日

<省略>

別紙(三) 税額計算書

<省略>

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